先日、東御苑を訪れたときには辺り一面の蝉時雨でした。
そんな中で偶々ベンチで休んでいたときに「ツクツクボウシ」の鳴き声が
きこえたのです。いっとき、耳を傾け聴き入ってしまいました。
家の近くでも蝉は鳴いていますが、殆どは「ニイニイゼミ」や「ミンミンゼミ」、
ツクツクボウシの声を聴くのは珍しいことです。
そこで、ふっと思い出したのが「蜩」です。
もう何十年も蜩のあの「カナカナカナ」という鳴き声を聴いていないような?
思い出しただけで急に懐かしさがこみ上げてきました。
田舎で暮らしていた小学生時代、夕暮れともなると必ず聴こえてきた。
子ども心にも哀調をおびた鳴き声に、一抹の寂寥感を感じたものでした。
疎開者として貧しく暮らしていた時代、自分たち家族がまわりの者から
どのような目て見られていたかは察せられることでしたから、そうした
言うに言えない想いに蜩の鳴き声が重なるようでした。
いま「カナカナカナ」のあの鳴き声を聴いたとしたら・・・・・?
遠い昔のやるせなかった時代を思い出して私は涙ぐんでしまうかもしれない。
書きながらもちょっと感傷的になっています。