題名を見れば何が書いてあるか一目瞭然ですね。
織田信長が明智光秀によって討たれた「本能寺の変」・・・・
光秀はなぜ主君信長に謀反したのか?
これについては「怨恨説」、要するに光秀自身の恨みつらみによるものとの解釈が
一般的のようで、長くそう思われてもきたようです。
ところが、近年は他にも「野望説」や「黒幕説」があって、山本兼一のこの作品は
黒幕説、つまり、朝廷の陰謀によるものとして物語が展開します。
とにかく、面白い!、読み始めたら止まらない!
どう展開したところで最後に信長は討たれ、光秀も儚く消えていく・・・・
本筋はちっとも変わらないのですが、本能寺の変まで残り38日、この緊迫感が
全編を貫いています。
信長自身の視点で描かれる「襲撃」の稿など、人が死にゆく場面なのに詩情さえ感じて
胸がいっぱいになり、じ~んとするような感動がありました。
作者の筆力、表現力があればこそで、改めて山本兼一さんを「凄い!」と思い、
亡くなられてしまわれたことが本当に惜しまれます。