涼しくなりました。今ではあの猛暑も嘘みたいに思えます。
あまりの暑さに「秋が来るのかしら?」とさえ思ったものでしたが、
このところの涼風に季節が確実に移り行く気配を感じます。
暑いのでどこにも出られず読書に明け暮れた夏でした。
時間があるので退屈しのぎのように適当に選びながら読んでいたのですが、
そのうちの何冊かは、「どうしても読んでおきたい」と思い入れのあるものでした。
いずれも司馬遼太郎の著書です。
◆ 「項羽と劉邦」、上中下巻、重量感のある中国の歴史小説です。
「思い入れ」と書きましたが、振り返ってみれば長い長い思い入れでした。
中学生か高校生の頃、宝塚の「虞美人」という舞台をみた。その時に、春日野八千代が演じた
「項羽」なる人物に惹きこまれ、頭に強烈に刷り込まれてしまったのです。
ともかく、これが発端で、以来いまに至るまで項羽への思いは続いていた。
司馬遼太郎のこの作品が単行本として出たときには買ってもいる。
でも、何故か読み切れないままに、項羽についても未消化のままに過ぎてしまっていた。
それが、その人物の全体像が、やっとこの夏わかったということです。
初めての出会いから半世紀以上もたって、ついに恋心のような思いが成就したのにも似て、
読後の達成感、充足感、そして、感動は言葉にもならないほどのものでした。
何故こんなにも長く思い続けていられたのか・・・・・・?
読み終わってみてすぐに感じたことでしたが、それは実に単純なものでした。
「あ~、私は、こういうタイプの人が好きなのだ!」
つまり、多少の難点はあるものの、「好みのタイプ」だったというわけです。
ちなみに物語は・・・・・
「紀元前2世紀末、秦の始皇帝は、中国大陸を統一して戦国時代に終止符をうった。しかし、彼の死後、秦の統率力は弱まり、再び天下大乱の時代に入る。そういう時代に、一介のごろつき上がりの劉邦が、楚の猛将・項羽と天下を争って、百敗しつつもついに楚を破り、漢帝国を樹立するまでの絢爛たる歴史大作・・・・」、私達には「四面楚歌」の熟語の謂れとして馴染みがあるでしょうか。
浜離宮で撮ったものです。