百 羽 の ツ ル

 つめたい月の光で、こうこうとあかるい、夜ふけのひろい空でした。
そこへ、北のほうから、まっ白なはねを、ひわひわとならしながら、百羽のツルが、とんできま
した。百羽のツルは、みんな、おなじはやさで、白いはねを、ひわひわと、うごかしていまし
た。くびをのばして、ゆっくりゆっくりと、とんでいるのは、つかれているからでした。
 なにせ、北のはての、さびしいこおりの国から、ひるも夜も、やすみなしに、とびつづけてきた
のです。だが、ここまでくれば、ゆくさきは、もうすぐでした。たのしんで、まちにまっていた、き
れいなみずうみのほとりへ、つくことができるのです。
「下をごらん、山脈だよ」と、せんとうの大きなツルが、うれしそうに、いいました。みんなは、
いっときに、下を見ました。くろぐろと、いちめんの大森林です。雪をかむった、たかいみねだけが、月の光をはねかえして、はがねのように、光っていました。
「もう、あとひといきだ。みんな、がんばれよ」
百羽のツルは、目を、キロキロと光らせながら、つかれたはねに、ちからをこめて、しびれる
ほどつめたい、夜の空気をたたきました。それで、とびかたは、いままでよりも、すこしだけ、
はやくなりました。もう、あとが、しれているからです。のこりのちからを、だしきって、ちょっと
でもはやく、みずうみへつきたいのでした。
 するとそのとき、いちばんうしろからとんでいた、小さな子どものツルが、下へ下へと、おちは
じめました。・・・・・・・つづく。
c0051107_11244773.jpg

「百羽のツル」 花岡大学 実業之日本社   今はもう絶版かもしれません。
好きな童話です。子どもにかえった気持ちで読んでいただければ・・・・・。
 
 
by suirenn2 | 2005-06-09 11:37


<< 百 羽 の ツ ル 三 年 峠 >>