過日、藤沢周平の「漆の実のみのる国」のことをアップしました。
上杉鷹山を書いた長編小説です。心の底の底まで沁み入るような
味わい深い素晴らしい作品でした。上杉鷹山については「これを読めば充分」と
思っていました。
ところが、たまたま本屋さんで目について、これも読んでみる気になったのです。
同じ人物を扱っていても、作者が変わればまた違った面が見えてくるかもしれないと思ったからです。作者が童門冬二であることもきっかけになりました。
よかったです。やはり、感動の物語でした。
上杉鷹山は上杉家の人物ではありません。日向(九州)高鍋の秋月藩という
小さな大名家の二男坊。縁あって上杉家に婿養子に入るのですが、上杉家と
いえば上杉謙信を始祖とする名門の大名家。とはいえ、名門とはいいながら
財政破綻で困窮し、お家はもう潰れかけてかけている状態でした。
こんな状況のなか、鷹山は17歳の若さで当主の座につくのです。
要するに物語は、この若き当主が72歳で没するまで、その生涯をかけて
米沢藩上杉家を再興する話。そこには当然波乱万丈のドラマがあるのですが、
そうしたドラマを通して見えてくる上杉鷹山の姿に胸を打たれるのです。
「漆の実のみのる国」を読んで以来、「
美しい」という言葉、「美しいとは何か」といった想いがずっと頭に焼き付いています。今回も、改めて感じたことでした。
最近の写真から・・・・